そして見事...!!
俺は紲と同じ中学校に合格することができた。
紲は泣いて喜んでくれた。
こんなに達成感を感じたのは人生で初めてだった。
これを味わわせてくれた紲に感謝したし、自分もやればできるのかと自信もついた。
親はお祝いしてくれたが、主は紲に対してで、俺はついでのような感じだった。
いや、俺のことは見えていなかったと思う。
でも気にしないし、気にならなかった。
だって俺は紲のために受験したんだから。
紲が喜んでくれるだけで十分だった。
だけど、今思えば...ほんとは心のどこかで、ほめてほしかったと思う。
今までだらけていた俺があんなに必死に勉強して合格したのに少しもほめられなかった理由はすぐに判明した。
たまたま聞こえてきた両親の会話。
「ねえあなた。合格祝いで洸にもなにか好きなもの買ってあげましょうよ。紲には買ってあげたのに...」
「なにを言っている?あの馬鹿な洸がほんとに合格できたわけないだろう?」
「え...?」
「俺のおかげに決まってるだろう」
「あなた、それって...」
俺はすぐにその場を離れて自分の部屋に入った。



