俺たちは二卵性のため顔は似ていないが、
顔の整った両親のおかげで俺も紲も小さいころから顔立ちをほめられてきた。
だけど、中身をほめられるのは紲だけ。
紲は俺とほんとうに双子か?と思うくらい素直な人間で、親のいうことをよく聞きそのとおりに過ごしていた。
でも俺は紲を妬ましく思うことはなかった。
だって、反発しているのは自分だから、ほめられないのは当たり前だ。
紲を羨ましく思うことはなかったし、ほめられたいと思うこともなかった。
俺は自分がしたいように生きていた。
俺が中学に入るまでに唯一頑張ったことをあげるならば、ミニバスケット部を小3からずっと続けていたことだ。
「洸はさ、勉強じゃなくて運動で勝負したらいいんだよ!!」
紲はそんなことを言って俺を無理矢理ミニバスケット部へと入らせた。
そこでまあまんまとハマってしまったわけだけど、
俺がどんなにバスケが上手くなろうと親がほめることは一度もなかった。
紲だけが試合を観にきてくれた。
紲はだらしない弟の俺をいつも応援してくれた。