今思えば、わたしがどうしてりんごジュースとバームクーヘンを好きなのか知っているのも、謎に包まれたままだ...。


「洸の部屋に行ったあの日......言った言葉はなに......?」


“お前をからかったことなんて、一度もない”


“ずっと本気なんだよ”


ただの気まぐれにしては、冗談が過ぎるよ...。


洸は軽い気持ちで、あんな言葉を言える人なの...?


それともほんとに、わたしのこと......。


だけど、わからない。


わたしと洸は、なにも接点がなかったのに。


洸はわたしのことを、いつから見ててくれたの...?


ねえ、教えてーー.........


「......悪い......忘れてくれ」


耳に届いたのは、まるでなにかが弾けて消えるような言葉。


そして、ぱたりと温もりさえ消えてしまった。