彼は店員さんに「アイスカフェラテふたつ」と頼んだあと、
わたしのことをまっすぐに見て“ありがとう”の言葉を言うと、深々と頭を下げてきた。
「...えっ?」
戸惑うわたしを早川くんは優しく目を細めてから、真面目な口調でこう言った。
「昨日、部活が休みだったから、彼女に会いに行ったんだ」
彼女とは...きっと、洸が襲ったという早川くんが付き合っていた人のことであろう。
「そしたら...俺を見るなり、“ずっと謝りたかった”って泣かれて...
そこですぐに理解したんだ...
洸に襲われたと思ってたあの現場は、彼女から言い寄ったんだってこと...」
「そういうことだったんだ...」
彼女さんがついた嘘だったんだ...。
「何度も何度も謝られたけど...、俺じゃなくて洸に謝ってって言った。
俺も、洸に謝らないと...」
「早川くん...」
そこで頼んだアイスカフェラテがやってきて一口飲んだけど、わたしは違和感を覚えたことに気づいた。



