部活動生の声はもう聞こえてこなくて...静かな空気が、わたしたちのあいだに流れた。


6時にもなっていない夏の空はまだ明るいけどーー太陽が真上にいるときと比べたら、ずいぶんとオレンジに染まっている。


わたしは勇気を出して口を開いたーー


「洸は...ほんとに、早川くんの彼女を襲ったの...?」


わたしと洸は関わりはじめてからまだ一ヶ月も経っていない。


だから、ふつう親友だった早川くんのほうが洸のことをよく知っているはずだ。


しかも、実際その現場を助けたと言っていた。


だけどわたしは......

女遊びが激しかったことは真実であっても、洸が無理矢理女の子を襲ったなんてことは、ありえないと思った......。


洸がそんなことするわけないって思った。


ましてや、親友の彼女をだなんて。


わたし、覚えてる。

“早川くんと友達なの?”って尋ねたときの、洸の悲しげな瞳を。


“俺はそう思ってた”という言葉を。


そんなセリフ、早川くんを裏切ったんだったら、絶対出てこない。


だからわたしは、洸が自分の口で“した”って言わない限り、信じない...。