いじわるな藍川くんの愛が足りない



ミーンミンミンミン...


7月31日。

今日は待ちに待った終業式だ。


もちろん待ちに待ってはいたんだけど...

はあ、明日から藍色の彼に、会えない。


そう思うと朝起きた瞬間から心が沈んだ。


そりゃ、彼のことを知りたい。


名前はなに?どんな声してるの?なにが好きなの?なにが嫌いなの?身長は?誕生日は?血液型は?...考えたらきりがない。


いつものように3両目に入ると、やっぱり座席はすべて埋まっていた。


今日もつりかんに捕まって立つ。


今日は一番端に座っているーー藍色の彼。


目をふせていて長いまつげが影を作っている。


綺麗な首筋。

シャツから伸びた長い腕。

足首を交差するように組まれた長い足。


って、明日から見れないからって、観察しすぎだよ。


もしかしたら、そんなわたしを第三者に気づかれているかもしれないし。


『桜谷~、桜谷~、』


そのときアナウンスが鳴って、彼が下りるひとつ前の駅に到着した。


「!?」


わたしは思わず跳び跳ねそうになった。


だって、彼の隣に座っていたサラリーマンが、たった今、電車から下りたから。