いじわるな藍川くんの愛が足りない



「...クスッ」


後ろから聞こえてきたその小さな笑い。


みなさん、お分かりですよね。


だれかなんて言わなくても、一人しかいないですもんね。


「ちょっと藍川くん!!どういうこと!?」


掃除の時間になって、わたしはほうきを握りつぶしそうになりながら裏門の前で仁王立ちして待っていた。


「なーに?」


まるで風に乗るみたいに爽やかに登場してきた彼に、

わたしのイライラメーターは100%をぶっちぬいた。


「なに?じゃなくて!!こっちがなんなの!?」


「俺、そんな怒られるようなことした覚えねぇんだけど?」


「した!!あきらかにした!!わたしがリレー出たくないと知っててわざと言ったでしょ!!」


“舞、次のホームルームって体育祭の競技決めだったよね。綱とり一緒に出ようね!”

“詩織、ほんとにリレー出なくていいの?せっかくこのクラスで4月の体力テストで50メートル走一位だったのに”

“リレーはもうこりごり!”


わたしたちの会話を聞いていたんだ。

そうにちがいない。