いじわるな藍川くんの愛が足りない



「突っ立ってねーで、上がれば?」


玄関に足を踏み入れてしまったことが、そもそもの間違いだったのかも。


彼は慣れたようにスニーカーを脱いで自分の家へとあがる。


「か、帰る...っ!」


「待てよ」


「今、掃除の時間だよ!?先生にバレたらどうするの!?」


「バレねぇよ」


「わ、わたしを巻き込まないで!先生に怒られるのは、藍川くんだけで十分ーー」


カッカッカッカッカッ


...?


この音は。


キャンッ


この鳴き声は。


一番奥の開いていた扉から出てきたのは。


「マロン」


彼はそう言って足元に寄り添ってきた“マロン”を抱き抱えた。


か...可愛い...っ!!


「チワワ買ってるんだ」


つい尋ねてしまい、そんな自分にハッとする。