いじわるな藍川くんの愛が足りない



放課後になり、わたしは急いでカバンを持って席から立ち上がった。


今日の朝、藍川くんに学校案内することを担任に頼まれたが、そんなの無視していいだろう。


だけど念のため、なにか用事があるように見せかけるため、急いでいるふりをした。だけど、そんなの意味がなかった。


「間宮」


ひどく透き通った声だ。


わたしはその声に立ち止まらずにはいられなかった。


「学校案内、してくれるんだよね」


藍川くんに、呼び止められたのだ。


「わ、わたしじゃなくても...他の人に...」


言い返す勇気はあった。


だってそうだろう。


どうしてわたしが案内しなくちゃいけないの?


わたしじゃなくていいだろう。


むしろ、男子のクラスメイトのほうがいいはずだ。


「先生は、間宮に頼んでたよね」


「そう...だけど」


彼の目だけは見れなかった。


あのときの軽蔑するかのような瞳をーー思い出してしまったから。