「今日は帰らせます」

しっかりと野山先生を
見つめ答える。
嘘をついたって無駄だし
怒られても2年生の決意は
変わらないのだから
別に構わないとも思った。

「明日からはどうするんだ」

少し野山先生は俯いて話す。

「ヤル気があってもう
 過ちを犯さないと
 誓える人だけ来させます」

「そうか。わかった」

そっと野山先生は微笑み
私を見つめる。

「お前らの決意は堅いんだな。
 これから頑張ろうな。
 2年生全員呼んでこい」

未だに誰にも
私は言っていない。
その時の野山先生の
穏やかな表情は
誰にも言っては
いけない気がした。

―ガラッ

体育館を出ると
まだ1年生は
立ち尽くしている。

「まだ…帰らないの」

「由夜先輩…ごめんなさい」

泣きながら謝る後輩。

「もう別に怒ってないから
 今日はとりあえず帰りな?
 ウチも怒ってごめんね。
 決意固めて明日来な?」

「…」

「とりあえず2年集合だって」

2年は全員
1年を置いて
体育館へと集合する。

「明日からは頑張れるか」

2年生全員に問いかける。
私達は先ほど濡らした瞳で
野山先生を見つめた。

「はい」

全員の声が揃った。