「はあーあぁ…」

「おい、こんな天気良い日の朝からそんな盛大なため息やめろよ。なんだよ、どうしたんだよ」

そう、天気は良好。朝イチ、文化祭で使う看板の色塗りをしている。

「百武は優しいねー。いつでもあたしの相手してくれて。」

「は、お前なんなの、投げやり感スゲーよ、元気出せよ」

明のブッスーとした顔と声に苦笑いをかます。

「ま、たいそうあれから先輩と会えてないーとかなんじゃないの?」

「え、なんでわかる!」

見てりゃわかるだろーよ、と先輩のことで一喜一憂する明に呆れる。

「もーさ、いっそのこと文化祭なんてどーでも良いよね!」

そう言って、ピンクのペンキがついたハケを振り回す。

ベチャ。

え、え。嫌な音した、よね?

音のした方、明の後方を振り返ると

「おい、なにこれ新種のペインティング?」

額に青筋をピクつかせて、笑う敦さん。と爆笑するこの前のお連れの方。

…ヤバイ。

「すみません!すみませんほんと!洗いに行きましょう!ね!」

無理やり敦さんの背中をグイグイーっと押して水道へ向かう。

百武カモン!!

口パクで助けを求められた百武は、しょうがねえなって様子で、タオルを手にし、明を追いかけた。