毎日来る不必要な送迎に気分が悪くなりながらも、後ろからやってくる様々な生徒のヒソヒソ声も気にせず黒色の光沢のあるリムジンに乗り込む。

「美実お嬢様、お帰りなさいませ。」

お決まりの執事の言葉。

バリエーションがないのがバレバレ。

仕事だから。やりたくてやってるけじゃない。

そんな風に思ってる事が顔に書いてある事が分かってしまうほどのくだらなさに呆れてしまう。

そう。あの頃の私は大概が不機嫌だった。
なんの感情も無く無表情かもしくは愛想笑いをして、でも心は泣きながら必死で現実にしがみついていた。

助けて欲しかった。

誰かに愛を貰いたかった。

18歳弱の私には愛がどんなものかも知らなかった。

だからもしかしたら愛を貰ってたかもしれないけど、愛そのものを知らない私は気づく事なんて出来るはずもなかった。

どうして辛いのはいつも私なんだろう、

ずっとそう思ってた。

私、大原美実は趣味なし、特技なし、自分で言うのもあれだけど顔の作りはマシな方。そんな至って平凡だけど歌だけは得意な高校3年生。

以上自己紹介終わり。

それくらい目立つものは無い。

強いて言うなら大原クオリティの社長令嬢。

お父様の年収は国内トップ。

改めて見たら凄いかも

お父様は出来の悪い娘に呆れて、何の話もしてこない。

お母様は私が8歳の時に心臓病で他界。

そんな金は有り余るけど愛は貰えない。

無愛想な女の子だった。