大きな入道雲が、空を流れて行く。 優雅に、堂々として。 季節は夏の真っ盛り。 夏休みも間近に迫ったある日、 私はいつものように、高校の窓際の席で空を眺めていた。 「真尋!次移動教室だよ。早く行こ」 幼なじみで親友の結城 香耶(ゆうき かや) が私の手を取る。 「うん」 憂鬱な気分を隠して、香耶に連れられ私は数学教室に向かった。