私たちの学校は私の家から歩いて15分くらいのところにある。


8時頃に到着して、下駄箱のところでローファーから上履きに履き替える。


ユキちゃんと私は同じクラスだから、普段は教室まで一緒に行っている。




「ちょっと用事あるから先に教室行ってて」

「うん、またね」




今日はユキちゃんが何か用事があるらしい。


下駄箱のところで別れて、私は教室へと向かう。


階段から2階まで上がって教室に入ってみると、やけに教室がざわついていた。




「おはよう、杏奈ちゃん」

「おはよ、柚月ちゃん」




この子は私の隣の席の雪村 柚月ちゃん。


私の中学からの友達で、しっかりしていて、色々な相談に乗ってもらったりしている。


私の大の親友だ。




「なんか今日賑やかだね」

「転校生が来るらしいよ」

「転校生?」




夏休み明けの転校生。そう珍しいことじゃない。


よく見たら私の右斜め後ろの席がいつのまにか増えている。




「女の子かな?」

「男の子らしいよ」

「そうなんだ、見かけたの?」

「私は見てないけど、職員室で見かけた人がいるみたい」




仲良くなれると良いな、とぼんやり考えながら席につく。


すると、後ろの教室のドアが開いてユキちゃんが入ってきた。


そして、ユキちゃんは私の後ろの席へとついた。