ユキちゃんは優しくて、ちょっと天然なところもあるけど、頼りになる。


頭も良くて、顔だって綺麗で、運動神経だって良い。


そんなユキちゃんがモテないはずがなくて、小学校の頃からユキちゃんが告白される現場を見かけるたびに心が落ち着かなかった。


けれどユキちゃんがこれまで誰かと付き合ったりしたことは一度もない。


どうしてだろう、とユキちゃんの方をちらっと見てみる。


すると、偶然にもユキちゃんと目があった。




「ど、どうしたの?」




目があって心臓が飛び跳ねるのをどうにか抑えて聞いてみる。


ユキちゃんはいつも通りふわっと笑って答えた。




「早く行かないと遅刻するよ」

「あっ、ごめん」

「ううん、早く行こう」




ユキちゃんが私の手首を引いた。


その動作も柔らかくて、優しくて、ドキドキする。


ユキちゃんが私の手を引きながら軽く駆け足で走っていく。



私もそれに合わせて並木道を抜けた。