「失礼します。お呼びでしょうか?」と私は緊張しながらきく。

「おう、よく来た。とりあえず座りなさい」と促されて、私はソファーに座った。

そこに「失礼します」と要君が入ってきた。

「よく来た。お前も座れ」と言われて、要君は私の横に座った。

「昨日は二人ともご苦労様。実はな前々から準備していたことがあってな…」と社長は一呼吸置いてこう、続けた。

「今回の契約は無事決まった。そこでだ、
獅童さんを代表取締役副社長に任命したい。もちろん批判とか色々あると思うけど、全力でサポートするから是非受けてほしい。考える時間は与えるつもりだ。近いうち答えを聞かせてくれ」と社長は言った。

「いいんでしょうか?私で…と言うより、私が選ばれた理由は何なんでしょうか?」と私が言うと、

「キミをそばに置きたいんだ。もちろんウチの会社の補佐として。キミの仕事ぶりは高く評価している。それにキミは自分の信念と情熱を持って仕事をしている。キミが適任だと判断した。もちろん今の場所で、今と同じように仕事をしてくれても構わない。けど、これからのウチの更なる飛躍のために、キミを幹部として表にしたい」と社長は言った。

嬉しかった。社長に認めてもらえたことが。

断る理由なんてなかった。

でも、心の準備がいる。

なので少し待ってもらうことにした。

「もちろん、俺も、要もサポートはするから」と付け足され、要君の顔をしっかり見る社長。

要君は笑顔で頷いていた。