今日は
人生最悪の日かもしれない。
「隼人…何してんの…?」
「うおっ、響希! 明日帰ってくるんじゃ…」
「ちょっとぉ、隼人どーいうことぉ?!
もう最悪っ」
2人は私を見るなり
中途半端に乱れた衣服を
急いで着直した。
どういうこと?はこっちの台詞だよ…。
「いや~~…響希ゴメンッ、これには理由があって…」
「…出てって」
「えっ?」
「出てけっつってんだよ!!!!このクソヤリチン男!!!!!」
「きゃっコッワ~ 隼人!いこっ」
バタバタと去って行く2人の背中を見ていると
何故か悔しくて涙が出てきた。
なんなの?理由って浮気に理由もくそもあるか!
だいたいここは私の家なんだよ!
人がちょっと旅行中で留守にした途端
他の女連れ込んでやる事やって
ほんとにありえない。最悪。最低。
私はあんな男と一年半も付き合ってたんだ…。
悔しさや悲しさ、いろんな想いが駆け巡ってどんどん涙が溢れてくる。
「っう~~~…」
「ぷっ…あはははは!!」
突然横から聞こえた大笑いに
びっくりして振り返ると
眼鏡姿にマスクの怪しい男が
ヒーヒー言いながら笑っていた。
「や~…ごめんごめん。君すごいね。思わず笑っちゃったよ」
は…?なにこの男。
人が泣いてるのになに笑ってんの?
「…笑うとこじゃないですから」
「だよね~、ごめんごめん。悪かったって」
そう言ってごめん、と手を合わせて謝る素振りを見せる男。
顔がまったく反省してない。
まったく、どいつもこいつもっ…。
「人が泣いてんのに笑うとかあんた!!!失礼にも程があるんじゃないの?!」
「や、だからごめんって…」
「てか誰ですか!?ここのアパート部外者立ち入り禁止ですから!!」
「いや部外者って…俺君の隣の…「うるさいっ!!」
怪しい男の話を遮り部屋に入ってしまった。
知らない男に浮気されて追い出す修羅場見られて、おまけに泣き顔まで見られて、
やっぱり
今日は最悪の日だ。