「…なんであそこの廊下通ったんですか?」


私は珀先輩と2人で、外に向かう。


「あー、あそこバスケ部の部室から丸見えなんだよね。百合ちゃん達が見えた時、なんか怖い雰囲気醸し出してたから来てみたの」


…遊び半分で行ってみたみたいな言い方してるけど


私のこと助けてくれたし、ほんとにいい人なんだな、、なんて思う


「…あの、ありがとうございます」


先輩の顔を見ると、私の顔が赤くなるのが自分でもわかる。


先輩は私と目が合うと、ぱっと目を逸らして


「いーえ」


と言う。


「…なんでこんな地味なのに、色々してくれるんですか?」


私は単純に疑問に思ったことを口にする。


もっと可愛い子に名前で呼ばせたりするべきだと思うんだけどな、


「なんでって、、百合ちゃん、面白いし、可愛いから」


……



え、


「…珀先輩。バカにしてます?」


そんなこと言われたことないし、


ありえない。


「してるって言ったら?」


珀先輩はニヤニヤしながら私を見る。


なぜかその表情にもドキッとしてしまう。


「…もう口聞かないです」


私は先輩よりも前を早歩きする。


「えっ、嘘だよっ!」


そう言って、珀先輩は私の手首を掴む。


もう、なんでこんなにドキドキしてるんだろう。


先輩と目が合う。


「百合はほんとに面白いし、可愛いよ!数分だったけどそれは伝わった!」


先輩は必死に説得してくる。


百合って呼んだ…


しかもそんなに説得してくれるってことは


また話してもいいってことですか?


こんな私でも


好きになってもいいんですか?


「…珀先輩のばか」


私は先輩に聞こえるか聞こえないかくらいの大きさでそう言った。


「…」


ほんと私は単純。


…これが初恋なのかな