過去の事はもうどうにもできない。

俺にもそんなことは分かってる。

「和詩は、それでいいの……?」

「そうするしかねぇんだよ。」

柚姫に嫌な思いをさせるぐらいなら別れた方がいい。

「柚姫ちゃんは別れを望んだの?」

「……俺だって、別れたくねぇよ!」

別れたい何て思うはずねぇんだよ。

「なら何で別れるのよ。」

…………言い返す言葉が見つからない。

「おかしいわよ。……何で自分の意志を通そうとしないの?」

「反対されてんだぞ?そんなことできるわけがない!」

「柚姫ちゃんへの愛はその程度なの?」

俺は馬鹿にされた気分になった。

すっげぇムカつく。

部屋を出ていこうと思った時。

「あんたのお父さんはそんな腰抜けじゃなかったわ。」

……………父さん?

俺は足を止めることしかできなかった。

「私とお父さんは結婚を反対されてたわ。お父さんの親に。お父さんは一流企業の社長息子だったから。」

初めて聞いた父さんの話。

俺は何も言わずに耳を傾けた。

「何度も言いに行ったわ。けど、許しは出なかったの。その時、お父さんは、会社を辞めて私を選んでくれたの。」

簡単に言うと、駆け……落ち…。

「じゃあ、父さんは……。」