「苺ちゃん、そいつが守ってくれると思って二人を殺したんだろ?……普通、自分の大切な人なら誰かに殺されねぇように自分が守ってやるんじゃねぇの?」

俺だったらそうしてる。

「うるさい……ッ。お前に何が分かるんだよ!」

「苺ちゃんは……守ってもらうだけで、何も守ろうとしてない。」

座り込んだ苺ちゃんを上から見下ろす。

「黙れ!それ以上なにも言うな……。」

「…前の俺は、自分のために喧嘩してた……。何もしたい事がなくて、イライラした時はただ暴れて回った。」

泣き出した苺ちゃんに語りかけるように俺は話を始めた。

「でも今は、違う。守りたいものを守るための喧嘩。そのためならいくらだって喧嘩してやる。…………」

柚姫に会って俺は変わった。

「………ッウ…」

「苺ちゃんに、守りたいものができたとき、今度は、それを守るために喧嘩すればいい。…………もうそれでも、いんじゃないか?」

俺はそれ以上何も言わずその場を後にした。

そういえば今って何時なんだろう。……授業始まってるよなー…。

「和詩!」

後ろから、声がして振り返った。

「…柚姫?どうした?」

「和詩が…苺とどっか行ったから捜してた。」

………心配、してくれてたんだ。

「ありがとな……柚姫。」

俺は柚姫の頭をポンポンと叩いた。

柚姫を絶対に手放したくない。

その思いが強くいつの間にか柚姫にキスをしていた。

「…和詩…ここ外だよ…?」

離れた唇から聞こえた柚姫の声。

「知らねぇし。」