「頼ってほしいんだよ、俺は………。俺って、柚姫の彼氏だろ?」

「…うん……。」

柚姫の髪をクシャクシャにしてやった。

「もうッ………。」

少しだけだけど、柚姫は笑ってくれた。

でも俺にとってはすっげぇ嬉しいことなんだ。

「じゃっ、学校行きますかぁ……」

立ち上がり腕を高く伸ばす。

「…待って!」

部屋を出ようとしたら柚姫が俺の腕を掴んだ。

「…ん……?」

「今日は……ここにいたい。」

…えぇぇぇッ!?

「学校に行きたくないなら、…家に帰ったら?」

焦り気味の俺。

そりゃ驚くだろ。わざわざココに?だって……………俺も、男だし…?

「嫌………。」

「柚姫……。何で?」

うつむきながら目を泳がせている。

「和詞と、一緒にいたい。」

…でも何で俺ん家?

「もう、一人は嫌なの。一人にさせたくないの。」

「ちょっ!?柚姫!?」

パニックになっている柚姫は頭を押さえている。

「もう、大切な人を失いたくないの………。」

涙がまた落ちていた。

「わかった。柚姫、わかったから………大丈夫だから…」

俺は柚姫を抱き締めることしかできなかった。

涙の訳を聞くこともできなくて、流れる涙を止めることもできない。

「好きなだけココにいていいから………」

そういって俺と柚姫は今日、学校に行かず二人でいた。

柚姫が涙を止めるまで俺は柚姫を抱き締めていた。

柚姫の悲しみが分からないから、少しでも近くにいてあげたかった。

俺は何もできない。