「そんな顔するなよ。消えかかったら言え？」

「またしてくれるの？」

こんどはキラキラした顔をした。

柚姫ってコロコロ表情変わって面白いな。

「うん。今度は場所決めときなよ。」

「わかった。」

柚姫はいつまでもその赤い跡を触っていた。

「まぁ…バイクだし帰ろっ。」

「…えっ…でも……」

足元を見ながら口をモゴモゴさせていた。

「絶対見られねぇようにしろよ？」

「うん…」

手を繋いでバイクの方まで歩いていった。

「柚姫、後ろ乗って」

ヘルメットを渡すとすぐに後ろに乗った。

「じゃあ、行こっか。」

走り出したバイクは柚姫の家へ向かった。

「…………………」

「…………………」

バイクを進めると、何も会話が無くてただただ、俺達が走る横を冷たい風が音をたてて通るだけだった。

「柚姫、ついたよ。」

「早いねぇ。」

「じゃあ、また明日な。」

俺はまたバイクに乗ろうとした。

「和君！ちょっと待って？」

俺を引き止めた柚姫はあからさまにいつもと様子が違う。

「ちょっと……中入って？」

言われるままにバイクを止めて柚姫と家の中に入って行った。

「………こっち。」

柚姫は１つの部屋の前で止まった。

「…開けるよ？」

言葉の意味は分からないけど、頷いた。

『バタンッ』

「誕生日おめでとう！和詩♪」

…………………………………………………………………えっ？…………………………………