「アッハハハ!柚姫。泣いてるよ。ダサクね?」

苺チャンの姿。

「おい…。下駄箱のと………この、黒板は。苺チャンがやったのか?」

俺の問いに……

「そだよ?アタシ言ったよ?どうなっても、知らない……って」。

長い髪をいじりながら………

「忠告したのにね?…でも、これだけじゃ終わらせない」

教室を出ていった。

「クソッ!」

そういって、苺チャンの机を蹴っ飛ばした。悔しい。スゲェ悔しい。

黒板を消す、柚姫の肩が、小刻みに震えていた。

「柚姫?大丈夫だから。これ以上、泣くなよ。。。。。。」

柚姫を抱きしめた。けど、柚姫の涙は止まることを知らない。

「大丈夫……だから…ネッ?」

俺から、離れてまた、黒板を消し始めた。


涙を流したまま。


『パタパタ……』

廊下から祐芽と悟が来た。教室に入るなり、黒板を見て、笑いあってた顔が真顔になった。

「これって……苺チャンが……?」

「しかいないよ……」

俺と悟の話しを素通りして祐芽が柚姫を外へ連れていった。

柚姫達が出ていって、俺は弱音をはいてしまった。

「柚姫を……守るって決めたのに、守ってやれなかった。…」



涙が一筋、


頬を伝った。



「まだ、守ってやれるだろ?決めたんじゃねぇのかよ!何があっても、守るんだろ!?
お前には俺も祐芽もいる……お前一人じゃねぇんだよ。」

悟の言葉は、俺の心に、響いた。

アリガトウ………

アリガトウ。

アリガトウ。

アリガトウ。

アリガトウ。

くどいかもしれない。

けど、沢山のアリガトウが言えるほど悟には感謝している。

「悟!」

祐芽が悟を呼んだ。

すぐに、悟は帰ってきて俺に、祐芽と柚姫が二人で早退するって伝えてきた。

俺は、教室を出て、歩いて行く柚姫の後ろ姿を見つめる。

「柚……姫…」

小声で言ったから、モチロン、柚姫に届くはずもない。

「柚姫は、祐芽に任せて、俺達は、苺チャンをどうにかしよう。」

悟が俺の隣に来て笑った。