刻一刻と時間が減っていく中で頭を悩ませていた時、とあることを思いつく。


これ、行かなくても平気なんじゃ…。


絶対とか強制とか言われたわけでもないし。


と、そんな甘い考えを巡らせていた時だった。


手に握っていた携帯が再び震えた。


恐る恐るディスプレイを見るとそこには、


『必ず来い』


とのメッセージとともに、写真が添付されていた。


この写真はまさしく、文化祭の時に長谷川君に取られたものだった。


「なっ…」


慌てて画面を自分の手で覆った。


ひ、卑怯者…っ!


そう心の中で叫んだ次の瞬間には私は走り出していた。












side光輝


HRが終わったあと、部活のため体育館に向かった俺は、体育館への渡り廊下で足を止めた。


「何だこれ」


目の前に広がっているのは、何十人もの女子生徒が体育館の入り口に群がっている光景だった。


「あんたどきなさいよ!」


「ちょっと、押さないでよ!」


「ここは私の場所なんだから!」


反射的に後退りしてしまうような状態に、隣にいた李央が口を開く。


「あー、これね。光輝知らねぇの?」


「何だよ」


「マネージャー募集だよ。この間先生が言ってたじゃんか」


そういえば、そんなこと言ってたような気がするが、


トレーニング中以外は眠気に襲われているためあまり記憶がない。


「ま、とりあえず裏からはいろーぜ」


「あぁ」













「お前ら集まれー」


顧問が部員に招集をかけた。


バッシュの調整をしていた俺も一旦手を止めて、顧問の元へ行く。


「集まったな。今日はお前たちにこの部活で働いてくれるマネージャーを紹介する」


その言葉に部員たちからは「待ったました」とでも言うような雄叫びが聞こえてきた。


「なぁなぁ誰だろうな!かわいい子がいいなぁ!」


「誰でも一緒だろ」


「はぁー?女の子だぞ!女子だぞ!ガールだぞ!?お前は興味ねーのかよ!」


「別に」