私なんか、勉強に重きを置きすぎて他のことが疎かになりがちだし。


その挙げ句の果てが体育のあの成績だし…。


「それに、風間君のおかげでこの本に巡り会えた」


「…いえ、俺はただ仕事をしただけなので」


風間君はそう言うと何か考える仕草を取り、2人の間に沈黙が流れる。


「…」


どうしたんだろう?


そんなことを思いながら風間君の発言を待っていると、


「あの、先輩」


普段あまり表情を面に出さない風間君が、珍しく何かを決心したような雰囲気で私に語りかけた。


「俺、ずっと思ってたんですけど…」


「…?」


「マネージャーやりませんか」


「…」


予想外の発言に、思わずリアクションを取り忘れる私。


マネージャー?


マネージャーってあれよね、部活のサポートしたりする役割的な。


しかも風間君が言うってことはつまり、バスケ部のマネージャーってことよね。


「そんな、私には無理だよ」


これでもかってくらいに顔面の前で手を左右に振る。


私なんぞがマネージャーなんかしたらそれこそ学校中の女子生徒を敵に回すことになる。


ただでさえ最近は長谷川君絡みで学年の女子から目をつけられているというのに。


これ以上何かしたら…、と勝手に想像し身震いする。


第一、バスケの経験もないし…、


「マネージャーなら経験がなくてもできます」


「…!?」


すると、心に中で思っていたはずの言葉に対応するように風間君の口から言葉が発された。


タイミングも返答も的確すぎる発言に心底驚いていると、チャイムが昼休み終了5分前を知らせた。


「じゃあ明日、体育館で待ってます」


「あ、風間君…!」


そう言うと風間君は図書室を出て行っってしまった。


チャイムが鳴ってしまったこともあり、風間君を追いかけるわけにもいかず、