2人揃って声のする方へ振り向く。


「休憩時間、もう終わりますよ」


「げ、まじか」


やってきたのは、藤木君と同じような格好をしている生徒だった。


見覚えがあるようなないような…。


「地味子どうせ教室で勉強するんだろ?よし廉、地味子を体育館に連れてこい」


「ちょ、ちょっと!何を勝手に…」


「わかりました」


「え!?」



















そして連行(?)された私は、何を言われるのでもなくただ練習中の風景を眺めていた。


朝練に来ているのはどうやら数人程度で、任意で参加しているらしい。


20分くらいたったときだろうか、ブザーが鳴り再び休憩時間になった。


自分だけ部外者感がすごく、藤木君が来てくれるのかと思いきや同級生と戯れていられるご様子。


そんな状況に肩身を狭くしていた。


「先輩、足元寒くないですか」


そんな時声をかけてくれたのが、さっきの部員だった。


手に持っていた大きめのタオルを手に抱えている。


「あ、少しだけ…」


「これ、洗ってあるので使ってください」


お言葉に甘え、タオルを受け取り膝にかける。


「どうもありがとう」


「いえ。…先輩、俺のこと覚えてますか?」


唐突な質問に一瞬頭が固まったが、実際こっちも、顔に見覚えはある気がしていた。


でも、やはり誰だか思い出せない。


しかしながら、首を少し傾けただけの仕草にもかかわらずこの美形な顔立ちである。


外であった時はよく顔が見えなかったけど、とても整った顔をしていらっしゃる。


もはや月とすっぽん。天と地。光と影。のようだ。