「そんじゃ2人目な」


そうこうしているうちに、先生はクジの箱へ再び手を突っ込む。


私はというと、ページの半分の単語を覚え終わり、もう半分に手をつけた。


ええっと…、submitは『提出する』でhand inも『提出する』ね。


「出席番号17番。…上地実子」


きっとあの先生のことだからこういうところを狙ってくるわね。


「上地」


今日帰ったら、もう一回復習しないと。


「上地実子」

期末に向けて頑張らなくちゃ…って、私の名前が呼ばれたのは気のせい?


「上地、お前だ」


そんなことを思っていたのもつかの間。


どうやら先生の私の名前を呼ぶ声は幻聴じゃなかったらしい。


その証拠にクラス全体からの痛いほどの視線を感じ、促される様に前へ視線を変えると、


「……え」


担任とバッチリ目が合った。


「実行委員よろしく」


運命の仕業なのかなんなのか、先生は私のクジを引き当ててしまったらしい。


有無を言わせない先生の圧に押し負けて私は堪忍する。


「……はい」


しかし、よりによってあの長谷川君と一緒。


先が思いやられるわ…。


深いため息をつきながら、視線を少し前へ向けると、さっきまで伏せていた顔が私の方を向いているのに気がつく。


「……ふっ」


等の本人はと言うと、夢の世界から帰ってきたと思えば私を鼻で笑い、口パクでよかったなと意地悪っぽく言う。


「(よくなんかないわ!)」


「そんじゃ、早速放課後集まりあるから。A棟会議室な」


かくして、私と因縁のライバル長谷川君は文化祭の実行委員となった。