そういえば昨日、あいつの写真を自分の携帯を入れる際、俺はあいつの電話番号を携帯に登録していた。


既に見つかったかもしれないけど、一応かけてみるか。


「李央。これよろしく」


首に下げていた投票箱を李央に勢いよく渡し、少し離れたところまで移動する。


「え、ちょっ!?」


校舎の影になる場所を見つけ、電話をかける。


なんとなく辺りを見渡してみるが、人が多すぎて地味子の見分けなんかつくはずもない。


いまだになり続ける発信音に焦る始める。


まさか、まだ見つかってないのか?


そう思ったとたん、俺の足は校舎の影から出て人混みの中へと移っていた。


似たような髪型を見つけては寄ってみるが、全員違う。


その間も着信音は鳴り続ける。


早く出ろ!


携帯を強く握りしめた瞬間。


携帯の発信音が止まった。


「地味子?」


「………あ……せん」


何か言っているようだが、よく聞こえない。


何て言ってるんだ?


「…地味子じゃ…ありません」


「いいからお前がいる場所教えろ」


とりあえず本題に入ると、数秒の沈黙が訪れた。


「…だれ…」


「俺」


「…」


「いや、分かるだろ?」


「…」


こいつ、誰からの着信か確認しないで出たのか?


「とりあえず今どこにいんのか言え」


「…や、です」


「言わないと次会った時ただじゃ済まないぞー」


「…意地悪」


「結構けっこー」


数秒経ったとき、やっと地味子の口が開いた。


「……体育館の、」


しかし、そこまで言いかけた時だった。