4月。

新しい学校に向かう足取りは鉛か何かのように重い。

まるで、泥の中を進んでいるかのようだ。

綺麗な桜並木も、穏やかな風も、暖かい日差しも全て嫌いだ。

楽しそうに笑い合う小学生たちが走って通り過ぎた。

いいなあ、無邪気で。

でも、いつまでも無邪気ではいられないんだよ。 

ピリピリと張りつくような緊張感の中で、自分を守らないといけない時が来るんだよ。

互いを傷つけ合う時が来るんだよ。

そんな、呪いのような念を送った。

どうして、学校に行かないといけないんだろう。

そんな、根本的な疑いが湧いてくる。

これだけネットが発達しているんだから、ネットで授業も全てすればいい。

そういう学校もあると聞く。

……わかっているよ。

学校は私みたいな不適合者を弾くためにあるんだ。

学校程度でやっていけなかったら、社会ではやっていけない。

いろんな人に言われた。

両親にも言われた。

私はきっと、社会でもやっていけない。

どこにも、私の居場所はないんだ。