緊張しっぱなしの心臓は、説明が終わってもなおドクドクと早い速度で脈打っている。
わかり辛かった点はあっただろうか。
伝えるべきことは伝えられただろうかと、不安に駆られていたら。
奥田さんが艶やかな色を乗せた唇を開いた。
「今朝、東雲部長から相談があると言われた時には何かトラブルかと肝を冷やしましたけど、確かにこれは相談の価値ありですね」
発せられた言葉には希望の色が滲んでいて、私の隣に座るゆずちゃんもウンウンと首を縦に振る。
「宝石みたいなケータリング案もSNS映えしそうだしいいじゃない。やるわね、亜湖」
「ありがとう、ゆずちゃん」
「どうだ、奥田」
東雲部長が意見を求めれば、奥田さんは「いいと思います」と明るい笑みを見せた。
「多くの女性にとって憧れのひとつである結婚式と、幼い頃に夢見ていたおとぎの世界の融合。新作リップのコンセプトともうまくマッチングしていますし、ここは向日さんの案で詰めていきましょう」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。いいプレゼンだった。じゃあさっそく必要な修正と追加箇所をさらに詳しくまとめましょう。向日さん、急だけど、今週中のどこかでA会議室を予約してくれる? 取れたら企画とマーケディングに会議招集出して。発表会のテーマ変更について打ち合わせをしましょう」
「はい! すぐに。ありがとうございます!」
私はノートパソコンのキーを打ち、急いで会議室の空きを確認する。



