「パーティー会場のシーンも参考になりそうだったな」

「そうですね。でも、あの会場、船内だし煌びやかで目は引きますけど、雰囲気で楽しませてるだけって感じがするんですよね」


豪華客船のパーティールーム。

オシャレな照明の光を受けるシャンパンタワーと白いグランドピアノ。

カジノコーナーも設置され、ジャズバンドの演奏も会場を盛り上げていた。

もちろん映画なので主役が重要なのだけど、広報部に配属されてもうすぐ四カ月。

日々、メディアからの問い合わせに対応し、発表会の準備はもちろんのこと、奥田さんとキャラバンに出たりして。

忙しくも充実している毎日の中、商品を気にかけてもらう為、目に、耳に、心に残るものをと自然と意識するようになっていた。

なので、映画でパーティー会場が出てきた際、何をテーマにし、誰に向け、何を発信しているのか等を考えてしまっていたのだ。


「……なるほどな。それなら向日、春夏の発表会、お前が好きにやれるとしたら何をやりたい?」

「えっ、私の好きに、ですか?」

「そうだ」


小さく頷いた東雲部長。