その後、打ち合わせは問題なく終わり……いや、最後に鳳さんに『俺とのこと、考えてくれた?』と聞かれたので別の問題はあったけれど。
とにかくそれは笑顔でかわして、予定していた編者部へのキャラバンから帰社した私は、雑誌のチェックを済ませると豪邸に帰宅。
まだちっとも住みなれない家の玄関を開け、一時間後。
「って、聞いたんですけど」
私は東雲部長が帰って来ると、夕食作りを手伝いながら鳳さんから聞いたモデルの話題を口にした。
「情報が嘘か真か気になって夜も眠れず」
「今日の昼間に聞いたばっかりだろうが」
「ナイス突っ込みです」
二人、色違いのエプロンを着けてキッチンに並び、東雲部長はフライパンでパエリアを作りながら溜め息を零す。
「……アホウドリめ。余計なことをペラペラと」
「もしかして、聞いてはいけない話でした?」
鳳さんからは内緒にしろとは言われていなかったけれど、東雲部長は隠したい過去だったのかもしれない。
眉根を寄せている横顔に「ごめんなさい」と謝れば、彼は小さく頭を振った。
「別に、ひた隠してるわけじゃない。ただ……プロフィールはモデルとして必要なもの以外は公開しないという契約だったからな」
聞けば、読者モデルをしていた友人の付き添いでスタジオに訪れたのがきっかけだったらしい。
その時、別のモデルにトラブルがあり、白羽の矢が立ったのが東雲部長。
友人の顔を立てる為、その後も頼まれればモデルの仕事をやっていたのだと。



