……なぜ、東雲部長は女性を信用してないのかな。
結婚に期待しなくなるほどの何かがあったんだろうか。
私みたいに、前の恋愛で何かあった、とか?
気になるけれど、無神経に相手の心に土足で入り込むような真似はしたくない。
私は最後のお皿についた泡を流し終えると、タッチスイッチに触れて水を止めた。
東雲部長はリビングのソファーに腰掛けて、ノートパソコンを広げている。
少し仕事をすると言っていたけれど、コーヒーでも淹れた方がいいんだろうか。
夫婦なら、それくらいはするものだよねと、そこまで考えて、結婚生活を試すといっても何をどうすればいいのかという疑問が沸いた。
私はキッチンカウンターのコーヒーメーカーにフィルターをセットしながら考える。
直後、東雲部長がこちらを不安げに見たものだから、「コーヒーはコーヒーメーカーが作るので安心してください」と悲しい宣言をし、すでに挽いてある豆をフィルターに入れた。



