どちらかといえばネガティブとも取れる言葉だったし、東雲部長のことだからまた「そうか」とか適当な相槌が返って来るかと思っていたのに。


「同意だな」


まさかの肯定の言葉。

「えっ」と、うっかり声を上げて驚いてしまうと、東雲部長はチラリと私を見てからまた視線を正面に戻して。


「俺は……あまり女を信用していない。だから恋愛の先にある結婚にも期待はしていない」


まさかの自分語りをしてくれた。

わ、私ごときが部長のプライベートな話を聞いてもいいのかと、ちょっと恐縮してしまう。

そんな風には見えないけど、東雲部長、もしかして酔いが回ってる?

でも、私も少し酔っているせいか、それとも、心を許してくれているようで嬉しいからか。

もう少し聞きたいと、知りたいという気持ちが勝って、隣を歩く部長を見上げる。


「彼女さんとか、いないんですか?」

「いないな」


このルックスだ。

信用はしていなくとも彼女くらいはいるのではと思っていたので、この答えも少し意外だった。