「未来、明後日からまたがんばろうね」

どんぐり公園の前で明るい声をあげる真美に「……うん」と返事をしてみても、悔しい思いを拭い去ることはできない。

新人大会が開催されたプラザホールのステージで、私たち旭ケ丘高校ダンス部のメンバーは全力を出し切った。

けれど結果は五位入賞。

全国大会に出場できるのは、上位三校まで。私たちの目標であった全国大会出場の夢は、幻に終わってしまった。

「元気出しなよ。今回は残念だったけど、また次の大会に向けて練習がんばろう? ね?」

私を励ますように、真美の手が肩の上にポンとのった。

明日の月曜日は今までの疲れを取るために、朝と放課後練習は休み。次の大会に向けての練習が再スタートするのは、明後日の火曜日からとなる。

私は新人大会で優勝して、全国大会に出場するという目標を失った。

真美は『次の大会に向けて』と言うけれど、私には『次』はない。私はもう、あの輝いたステージに立つことはできないんだ……。

そんな風に気持ちが沈んでしまったのは、プラザホールで彼と会って話をしたから。

今まで忘れていた死の恐怖と不安に再び襲われ、涙がジワリと込み上げてきてしまう。

「未来? 大丈夫?」

様子がおかしい私に気づいた真美が、顔を覗き込んでくる。でも真美には心配かけたくない。

「……うん。大丈夫だよ。じゃあまた明日ね」

「うん。じゃあね」

瞳からあふれ出そうな涙を隠すようにうつむくと、家に向かって駆け出した。