「未来、ファイト!」

紫織の短い励ましの言葉を聞いた途端、ヤル気が湧いてくる。

「うん。がんばる」

弱気になっている場合じゃない。

自分を奮い立てると紫織の助けを借りて、腹筋を続けた。

いつの間にか私を取り囲むように部員が集まり「四十七、四十八……」と声を揃えて腹筋の数を数えてくれる。そしてラスト一回……。

「五十!」

ダンス部員の声が体育館にこだました。

途中で投げ出さずに、腹筋を最後までやり通すことができたのはみんなの応援があったから。

「ありがとう」

腹筋の手助けをしてくれた紫織と部員のみんなにお礼を言う。

お腹は鈍く痛むし、練習前だというのに体はすでに疲れ気味。それでも心は清々しい気分でいっぱいだ。

苦手意識を持っていた基礎練習も、これからはもっとがんばろう……。

腹筋を五十回やり遂げたことが大きな自信となり、ダンスに対する意欲がみなぎってきた。そのとき……。

「未来、お帰り」

どこからともなく、声が上がる。

四日間も練習をサボった私を責めずに、温かく迎え入れてくれたみんなの気遣いがうれしい。

「ただいま」と返事をして、部員ひとりひとりとハイタッチを交わす。でも真美だけはその輪に加わることなく、ひとりでストレッチを始めた。