文化祭の振替休日となった週明けの月曜日。午前七時にセットしたスマホのアラームが耳もとで音を立てる。

学校は休みだけど、ダンスの練習はある。まだまだ眠っていたい気持ちを抑えつつベッドから起き上がった。



朝食を取り、学校に行く準備を整えると家を出る。すると向かいの家の門扉がガチャンと開いた。

「佐伯のおばあちゃん、おはようございます」

「未来ちゃん、おはよう。これから学校?」

「うん。そう」

制服姿の私と会話を交わすのは、向かいの家に住んでいる佐伯のおばあちゃん。私が幼い頃から『佐伯のおばあちゃん』と呼んでいるため、実年齢はわからない。ほうきとちりとりを持っているということは、これから家の前を掃除するのだろう。

佐伯のおばあちゃんとおじいちゃんには子供はなく、ふたりで暮らしている。だからだろうか、旅行に行けば必ずお土産を買ってきてくれるし、甘いものが好きな私のために、たくさんのおはぎを作ってくれる。

来週に迫った敬老の日には日頃の感謝を込めて、コツコツと溜めてきたおこづかいで和菓子をプレゼントしようと密かに計画を練っている。

「いってらっしゃい。気をつけてね」

「はい。いってきます」

私のことを孫のようにかわいがってくれる大好きな佐伯のおばあちゃんに挨拶すると、真美と待ち合わせをしている公園に向かった。