次の日の朝。スマホのアラームをセットしていないのに、カーテンの隙間から差し込んでくる朝日がまぶしくて勝手に目が覚めてしまった。枕もとに置いてあるスマホのホームボタンを押せば、画面には午前六時と表示される。この時間は朝練習をするときに起きる時間だ。

昨日と同じように朝練習をサボるつもりでいた私にとって、今朝の早起きは想定外。まぶたを閉じると二度寝するために、再び布団にもぐった。

しばらくの間、うつらうつらしていると「未来! 真美ちゃんが迎えに来たわよ!」という母親の声が一階から聞こえてきた。

まさか真美がウチに迎えに来るなんて……。

不意の出来事に慌てふためきながらベッドから跳ね起きる。でも今の今までベッドの中にいたからパジャマのままだし、顔も洗ってないし歯も磨いてない。

こんな寝起き姿を真美に見せるのは、幼なじみといってもやはり恥ずかしい。

私はまだ起きていないから先に学校に行くように言ってくれればいいのに、と母親を恨んだ矢先……。

「未来!」

私の名を呼ぶ母親の苛立った声が、一階から聞こえてきた。起してもすぐに起きないと、朝から母親に小言を言われるのは面倒くさい。

「今行く!」

大きな声で返事をすると、渋々一階に降りた。