気遣いはうれしいけれど、彼の予言のような言葉と佐伯のおばあちゃんが亡くなった事実を冷静に受け止めている真美に対して素直になれない。

「……偶然じゃなくて、本当だったら?」

彼に後をつけられて脅されたのは、この私。

怖い思いをしていない真美に『偶然』という言葉で片づけられるのは納得できなくて、つい反論してしまった。

しかし真美も黙っていない。

「未来。あんなヤツの言うことなんか信じちゃだめだって言ったよね?」

大きなため息を吐き出しつつ、真美があきれたように言う。

「私だってアイツの言うことなんか信じたくないよ。でも佐伯のおばあちゃんはアイツの言う通り、本当に亡くなったじゃない!」

「未来……」

幼なじみで親友の真美に対して、私が声を荒らげたのは今日が初めて。大きな瞳を揺らして私の名前をポツリとつぶやいた真美が、戸惑っているのがわかる。

感情的になってしまったのは、佐伯のおばあちゃんと同じように、自分も死んでしまうのかもしれないという恐怖と不安を真美がわかってくれないから。

「……真美、ごめん」

降り続く雨の中、真美に謝ると、ウチに向かって駆け出した。