一方の私といえば、なにもかもが平均的。テストの点数も毎回平均点前後だし、徒競走もビリにはならないけれど、一位を取ったこともない。

ストレートの黒髪に中肉中背といった特徴のない私と、才色兼備な真美。幼なじみの私たちを、なにかと比べる母親の口癖は「少しは真美ちゃんを見習ってちょうだい」。

まだ小学生で素直だった私は母親の期待に応えるために、予習復習を欠かさず、公園でダッシュの練習に励んだ。

しかし結果はいつもと同じ。テストも徒競走も、一度も真美に勝つことはできなかった。

頭と運動神経がよくて、容姿も優れている真美には敵わない。そもそも平凡な私が、真美に勝とうとしたことが間違いだったんだ。

そう思うようにしてみれば、真美への対抗心が嘘のように消え去った。

「未来ってすぐに緊張するから、心配だったんだ」

さすが、幼なじみ。私の性格をよく把握してくれている。

「心配かけてごめんね」

「ううん」

文化祭の出演を終えて、抱き合っていた腕を解いた真美の顔に笑みが浮かぶ。

幼なじみであり親友である私のことを、常に気にかけてくれる真美には感謝しかない。

真美と微笑み合うとハイタッチを交わした。