あの嫌な出来事があった翌日も、その翌日も。なにも変わったことは起きなかった。そして迎えた金曜日。

衝撃的な彼の告白とは裏腹に、私の体はどこも痛くないし食欲もある。

真美の言う通り、『オマエさ……近いうちに死ぬぜ』という彼の言葉はデタラメだった。

そう実感した途端、重く沈みがちだった気持ちが風船のように軽くなった。



裏庭であんな変なことに遭ったため、特訓は延期されたまま。昼休みは母親が作ってくれたお弁当を食べ、クラスメイトの愛梨と菜々美の三人で過ごしている。

今盛り上がっているのは、三週間後に迫った愛梨の彼氏の誕生日の話。プレゼント選びに苦戦しているらしい。

もし私が、彼氏にプレゼントするなら……。

放課後と土日もダンスの練習があるため、アルバイト経験はゼロ。高価な物をプレゼントすることはできない。

それならケーキやクッキーを焼く?

彼氏もいないのに、アレコレ妄想することがなんだか虚しい。

お弁当を食べ終えてお茶をゴクリと飲み込むと、口から大きなため息がこぼれた。