四時間目の授業が終わった昼休み。制服のスカートの裾を揺らしながら、真美とともに階段を勢いよく駆け下りる。向かう先は駐輪場の先にある裏庭だ。

貴重な昼休みの時間を無駄にしないように、三時間目が終わった業間休みに母親が作ってくれたお弁当を食べたし、準備は万端だ。

「ここなら人も来ないし、集中できるでしょ?」

真美が満足そうに両手を広げて微笑む。

校舎を出ると右に曲がり、テニスコートの脇を通りすぎ、駐輪場を抜けた先にある裏庭に来たのは、人の目を気にすることなく特訓に集中できるから。

日当たりがよく花壇の手入れも行き届いた中庭とは違い、ここは芝生広場にベンチがポツンと置いてあるだけの寂しい場所。昼休みという限られた時間に校舎から離れているこの裏庭に来る人は、たしかにいないだろう。

「うん。そうだね」

気合いが入りまくりの真美に、顔を引きつらせながらコクリとうなずいた。

文化祭の振替休日もダンスの練習をした。そして今朝も今日の放課後も練習はある。だから昼休みくらいはダンスから離れて、まったりと過ごしたい。

真美には内緒だけど、これが私の本音。

でも本心を告げたら、真美はきっとショックを受ける。幼なじみであり親友である真美に失望されるのは、絶対に嫌だ。

「じゃあ、始めようか」

「はい。よろしくお願いします」

かしこまって頭を下げれば、真美がクスッと笑った。