「あのね、実は……」

好きだと伝え合ったこと、クリスマスイブにイルミネーションを一緒に見に行く約束を交わしたことを、真美に打ち明けた。

「やっぱりアイツは未来のことが好きだと思ったんだよね。でも、また変なことを言われたら、私にすぐに知らせてよ」

「あ、うん……」

真美が言う『変なこと』とは、私の死に関することだ。

幸希は幼い頃から魔物が見えて、私には今でも魔物が取り憑いていることを真美が知ったら、悲しみに暮れるだろう。

幼なじみで親友である真美には隠しごとはしたくない。けれど、どうしても真実を伝えることができなかった。




週明けの月曜日。帰りのホームルームが終わった教室から出ると、一目散に階段を駆け下りる。そして校舎を出ると右に曲がり、テニスコートの脇を通りすぎ、駐輪場を抜けた先にある裏庭に向かった。

すでにベンチに腰を下ろしていた幸希のもとに急ぎ「遅くなってごめんね」と謝れば「だから待ってないって」という言葉が返ってきた。

久しぶりに裏庭を訪れたのは、ダンスの練習が始まるまでのわずかな時間を幸希と一緒に過ごすため。

学年が違い、スマホも持っていない幸希と思うように会って話せないのが今の私の悩み。そしてこれも……。