日付指定のパークチケットを返すと決めたものの、私は彼のナンバーもアドレスも、そしてクラスも知らない。

上級生である三年生の教室を覗き回る勇気はなかったため、ホームルームが終わるとすぐに校門に向かい、練習が始まるまでの短い時間、彼を待ち伏せしてみた。でも結局、彼と会うことはできなかった。



金曜日の練習が終わった帰り道。「明日の練習だけど……私、休むね」と真美に伝えた。

練習を休んでラッキーランドに行くと決めたのは、パークチケットを無駄にしてはもったいないと思ったから。

彼に渡されたパークチケットは、指定された日にちにしか使えない。

それなのに真美は「彼とのデート、楽しんできてね」とニヤニヤとした不気味な笑みを浮かべる。

「デートじゃないからっ!」

「はい、はい。そういうことにしておいてあげる」

すぐさま反論したけれど、真美は私の否定の言葉を軽く受け流すだけだった。

デートだ、デートじゃない、と言い争ってもキリがない。

「お土産、買ってくるね」

「うん。期待してるからね」

ついさっきまで騒がしく言い合っていたことが嘘のように、真美と笑い合った。