けれどニヤニヤする私とは違い、真美の表情はどことなく沈んでいるように見えた。

「告白して断られたらショックだし……。だったら今のまま、気軽に話せる方がいいかなって思うんだ」

真美は弱々しく答えると、自動販売機の陰から歩道に出た。

好きな人と話せなくなるくらいなら、告白なんかしない方がいいという真美の気持ちはよくわかる。

でもふたりのどちらかが勇気を出せば、真美と北山くんはすぐにでも両思いになれるのに……。

「クリスマスも近いし、思い切って告白してみたらどうかな?」

煮え切らない真美をもどかしく思いつつ後を追い駆けると、北山くんに告白することをしつこく勧める。

「クリスマスにフラれたら、それこそショックじゃない?」

「たしかに……」

しかし真美の気持ちは簡単には揺るがなかった。

真美が北山くんを好きだと打ち明けてくれた今、私も自分の気持ちがハッキリとわかった。

北山くんに対する思いは、恋じゃない。だって私は、北山くんと真美がうまくいくことを心から願っているのだから……。

「あ~あ。お腹空いた~」

真美が北山くんの話題を逸らしたのは、恥ずかしいから?

「私も」

普段はズバズバと言いたいことを口にするのに、恋には臆病になる真美を愛しく思った。