目を覚ますとまず先に白い天井が目に映る
(もう何度見た事か…)
僕は原因不明の病を抱えていて何度も入退院を繰り返していた
白い天井
あまり美味しくないご飯
僕は原因不明の病ならばいっそ死んでしまったほうがいいとこの時は思っていた
僕は暇潰しに屋上へと向かう
屋上に着くと何処からか歌声が聞こえる
僕は周りを見た後顔を上げると其処に居たのは綺麗な黒髪をなびかせて歌う少女が居た
優しくて凛としている声
その歌声に僕は時を忘れてしまう
『!…誰⁉︎』
『あ…僕は彼方!怪しくないよ!』
『ふーん…私は凛音、何しに来たの?』
『暇潰しの筈だったけど君の歌が聞こえて…癒された!』
僕の一言に君は真っ赤になりながらそっぽを向いてしまった
その仕草に僕は見惚れて胸が高鳴るのを感じる
『凛音は何の病気?』
『心臓かな?肺かも』
(⁉︎)
『もう治らないかもって医者が言うんだもん…笑っちゃう』
震えている君の声に僕はいつの間にか君を抱き締めていた
君はキョトンとしていていたが僕の手に触れる
その温かい温もりに僕は自分の情けない日々を憎んだ
『彼方⁇彼方の病気は原因不明の病なんでしょ?怖いなら私が傍にいるからね』
『…うん』
僕の方を向いて笑う君の笑顔は涙に濡れている
なのに
笑っている君は僕より強くて綺麗だった
僕は暫く君を見つめた後頷いて指切りをする
その指が震えていることを知りながらも
僕はこの手を離さない
この日から暫く経ち君は僕より早く去ってしまった
だけど僕は泣かない
だってそれが君との最後の約束だから
原因不明の病の治療法の開発がされ一番喜んだのはやっぱり君だった
『凛音、ありがとう』
あの時に諦めていたら僕は此処にはいない
ねぇ、今すぐ君に会いたいな
君の身体を抱き締めたい
ねぇ………
『〜🎵』
ふと君の歌声が聞こえる
振り返ると其処には凛音の姿はなくて違う少女が歌っていた
『…』
『⁇………凛音ねぇが教えてくれたの!』
『そうか!良かったな!』
『うん!』
なぁ、凛音
お前の存在はかなり大きいな
僕を変えたのと次の子へと渡るその歌に僕は嬉しそうに
桜が舞う中で僕は一人君を想いながら微笑んだ