青夏ダイヤモンド



その後はコツを掴んで何度かホームランのパネルがあるところの近くまでボールを運ぶことができた。

すっかり気分が良くなった私は全ての投球が終了して振り向くと、多くの視線が私に集まっていることに初めて気がついた。

恐る恐るフェンスのドアを開けると拍手で迎えられ、賞賛の声を浴びた。

「何これ、全然気づかなかった」

「女であんなバカバカ打ってたら、注目されるに決まってるだろ」

「夢中になっちゃって」

「俺まで居心地が悪い。出ようぜ」

賞賛の声に喜ぶよりも、恥ずかしさの方がこみ上げてきて、脩の提案に即座に頷く。

外に出ると、いつの間にか太陽は厚い雲に隠れていて、昼間にも関わらず薄暗さを感じた。

「雨降りそうだから、急ぐね」

駅までの道のりを考えると、走った方が良いと瞬時に思える程、今すぐに降って来そうな雲行きだ。

「おい、待てって」

駆け出してすぐに脩は自転車を私の横につけた。

「駅まで送ってやるから乗れよ。走るより速いだろ」

脩は後ろの荷台を視線で示した。

「や、いいよ。脩だって早く帰らないと降って来ちゃうよ」

「ここでごちゃごちゃやらせるなよ。ほんとに降ってくるから、乗れ」

私を急かすように荷台を叩くので、私は渋々脩の後ろに回り、荷台を跨いだ。

運動をして汗をかいた自分のシャツが脩に触れるのを遠慮して、荷台を掴んでバランスを保とうとすると、前から脩の手が伸びて来て、私の手を掴み、自分のお腹に回させた。