青夏ダイヤモンド



次は上の段を狙おうとするも、なかなか高さが出ない。

次第に腕が疲れてきて、パネルにも届かなくなってしまった。

たった数球で腕が疲れてしまうなんて、いくら球技大会といえど試合にならない。

「勝ち負けはどうでも良かったんじゃねぇの?」

聞き覚えのある声にびくり、として、恐る恐る振り返ると、やっぱり脩がそこに立っていた。

「な、何で・・・」

「ここ、俺の行きつけ。お前こそはるばる来たなぁ」

「み、見た?」

「ばっちりな。だいぶバテてるじゃん」

「まだまだいけるし」

「無理すんなって。いきなり張り切ると腕、使えなくなるぞ。休憩すれば?ジュースくらいなら奢るけど」

奢られることを断ったのに、脩は問答無用でオレンジジュースを握らせた。

「お前の行動って、やりたいのかやりたくないのか、わかんないんだけど」

「やりたくないよ」

「じゃあ、何で練習してんの?」

「・・・私の中の何かが許さないから」

「ふーん。厄介な物、自分の中に飼ってんな」

自分だって何でこんなとこにいるのかわからない。

やりたくないと思っていることは確かなのに、中途半端にはしたくなかった。

勝ち負けも本当にどうでも良くて、多分、負けたとしても自分が納得のいくようにできたらそれで満足するんだと思う。

「囚われてるんじゃねぇの」

「何に?」

「過去の自分に」

脩はそれだけ言うと、缶を煽って最後の一口を一気に流し込むと、ゴミ箱にそれを投げ入れ、ピッチングゾーンに入って行った。