ドサッ、と乱暴にグローブが私の横に置かれる。
「参考にでもなったか?」
脩は帽子もその上に投げ置いて、汗に濡れた髪を覆ったタオルで激しく拭った。
「偉そうに」
「ぼーっと座ってたのか?」
「ちゃんと見てたよ。脩の渾身のカーブがホームランになったのも」
「余計なもの見てんなよ」
「カーブ、苦手なの?」
「うっせぇ」
タオルもベンチに投げ、睨みつけられた脩の目の鋭さはなかなか型にはまっている。
日常的に目つきが良い方ではないから迫力満点だ。
「見破られてんじゃーん。そうそう。脩ってストレートは抜群なのにカーブやらフォークやら苦手でさー。球種が少ないのが玉に瑕ー」
「人のこと、とやかく言える立場かよ」
「怖いなぁ。ストレートは抜群って褒めてんじゃん」
脩はあからさまに不機嫌な顔をし、沖田君を睨みつけた。
きっと、自分でも苦手意識はあるのだろう。
悔しいのか、子供のように不貞腐れて持ち物の扱いが途端にぞんざいになった。

