3年生の部長の声で練習の終わりが告げられ、部員達は一斉に道具の片付けやグラウンドの整備を始めた。
充希は野球を間近で見たことがなかったのか、一つ一つの動作に感嘆し、私に説明を求めた。
そうしているうちに、私達は最後まで練習を見学することになってしまったのだけど、長いとは思わなかった。
久しぶりに野球を見たが、私の中に眠っていた野球への愛が徐々に育っていった。
自分でも投げたい、と思ってしまった。
「ごめん。もしかして、帰るタイミング見失った?」
道具の片付けを終えた沖田君が申し訳なさそうに私達に声をかける。
「そんなことない。面白かった」
充希が目を輝かせて答えるので、沖田君もそれを本心と疑わず、嬉しそうにした。
「都が説明してくれたから、野球のこと、すごく理解できた。何でそんなに詳しいの?」
「お爺ちゃんやお父さんが良く野球中継見てたから、自然と詳しくなっちゃったんだよね」
充希は納得した顔をすると、すぐにハッ、とした顔になり、目を泳がせた。
「・・・ごめん」
「何で謝るの?」
「球技大会の種目決める時、野球をすごく嫌がってたから何でかなって思ってたんだけど、お父さんのこと思い出しちゃうからだったんだね」
どうやら充希は違和感無く繋がった思考回路に自分で頷き、再び謝った。
訂正する程でもないだろうと思って、私もその想像に乗り掛かることにした。

